次の文で示す症例の罹患筋に対する刺鍼部位として最も適切なのはどれか。「20歳の男性。右利き投手。オーバースロー投球時のコッキング期に右肩峰の前下方に痛みが出る。インピンジメントテスト陽性。」
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
投球動作のコッキング期における肩峰前下方の痛みとインピンジメントテスト陽性から、肩峰下インピンジメント症候群が強く疑われる。この病態では棘上筋腱や上腕二頭筋長頭腱が肩峰と上腕骨頭の間で挟み込まれることで炎症や損傷が生じる。棘上筋は肩甲上神経支配で、肩甲骨の棘上窩から起始し大結節に停止する。秉風穴は棘上筋の筋腹に近く、棘上筋の緊張緩和や血流改善を目的とした刺鍼部位として最も適切である。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。秉風は肩甲骨棘上窩内方に位置し、棘上筋の筋腹部に当たる。インピンジメント症候群において、棘上筋の炎症や損傷が関与することが多いため、この部位への刺鍼は棘上筋の機能改善に有効である。
- 2. 肩貞は三角筋後縁、腋窩横紋後端の上1寸に位置し、主に小円筋や三角筋後部の治療に用いられることが多い。本症例の病態である棘上筋のインピンジメントに対しては直接的なアプローチとはなりにくい。 正しくは:棘上筋への刺鍼として、秉風など棘上筋に直接アプローチできる経穴を選ぶ。
- 3. 天宗は肩甲棘中央の下方陥凹部に位置し、主に棘下筋の治療に用いられることが多い。インピンジメント症候群では棘上筋の関与が最も疑われるため、天宗は本症例の主訴に対する最適な選択とは言えない。 正しくは:棘上筋への刺鍼として、秉風など棘上筋に直接アプローチできる経穴を選ぶ。
- 4. 肩外兪は第1胸椎棘突起下縁と同じ高さで、正中線から外方3寸に位置し、肩甲挙筋や菱形筋の治療に用いられることが多い。本症例の主訴である棘上筋のインピンジメントに対しては直接的なアプローチとはなりにくい。 正しくは:棘上筋への刺鍼として、秉風など棘上筋に直接アプローチできる経穴を選ぶ。
国試ポイント
肩関節周囲の痛みに対する刺鍼部位の選定。特にインピンジメント症候群の原因筋(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋などの腱板筋)と関連する経穴を理解することが重要。
混同注意
肩関節周囲の痛みは多岐にわたるため、鑑別診断が重要。インピンジメント症候群、腱板損傷、上腕二頭筋長頭腱炎、石灰性腱炎などを区別し、それぞれの病態に応じた治療点を選定する必要がある。本症例は投球動作とインピンジメントテスト陽性から、腱板の中でも特に棘上筋が関与している可能性が高い。
次に同じ論点が出たら
今後同様の症例が出題された際は、まず問題文の動作や検査所見から原因となる筋を特定し、その筋の走行や付着部、支配神経を考慮して最も効果的な刺鍼部位(経穴または非経穴)を選ぶ。
覚え方
今後同様の症例が出題された際は、まず問題文の動作や検査所見から原因となる筋を特定し、その筋の走行や付着部、支配神経を考慮して最も効果的な刺鍼部位(経穴または非経穴)を選ぶ。
対になる知識
肩関節周囲の痛みは多岐にわたるため、鑑別診断が重要。インピンジメント症候群、腱板損傷、上腕二頭筋長頭腱炎、石灰性腱炎などを区別し、それぞれの病態に応じた治療点を選定する必要がある。本症例は投球動作とインピンジメントテスト陽性から、腱板の中でも特に棘上筋が関与している可能性が高い。
関連知識
インピンジメント症候群は、肩峰下腔の狭小化により腱板が圧迫される病態である。治療には保存療法が主体で、急性期は安静、薬物療法、物理療法、慢性期は運動療法や筋力強化が行われる。鍼治療では、痛みの緩和、筋緊張の改善、血流促進などを目的として、関連筋(棘上筋、棘下筋など)の圧痛点や走行上の経穴(秉風、肩外兪など)を用いる。