次の文で示す患者の病証に対する治療方針として最も適切なのはどれか。「65歳の男性。1か月前から腰下肢のだるさがあり、最近では耳鳴りが断続的に起こる。舌は紅、脈は細数を認める。」
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出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
65歳の男性で腰下肢のだるさ、耳鳴り、舌紅、脈細数は、中医学において腎陰虚の典型的な症状です。腎は腰と耳を主り、陰虚は熱証を伴うため舌紅、脈細数となります。治療方針は不足した腎陰を補う腎陰補法が最も適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 肺陰虚は空咳、喀痰少量、咽喉乾燥、潮熱、盗汗、五心煩熱、舌紅少苔、脈細数などが主症状であり、本症例の腰下肢のだるさ、耳鳴りの主訴とは直接結びつきにくいです。 正しくは:空咳、喉の乾燥が顕著であれば考慮しますが、本症例では腎陰虚を優先します。
- 2. 正解。本症例の「65歳の男性」「腰下肢のだるさ」「耳鳴り」「舌紅」「脈細数」は、中医学における腎陰虚の典型的症候です。腎は腰を主り、耳に開竅し、加齢と共に腎精が衰えるため腰痛や耳鳴りが生じやすくなります。陰虚内熱のため舌紅、脈細数が出現します。したがって、腎陰を補う治療方針が最も適切です。
- 3. 肝陽を補うという治療方針は一般的ではありません。通常、肝陽上亢に対しては肝陽を平肝潜陽し、肝血虚に対しては肝血を補います。本症例の症状は肝陽上亢ではなく、肝陽虚は非常に稀で、また肝陽虚の症状とも合致しません。 正しくは:もし肝陽上亢であれば平肝潜陽、肝血虚であれば補血養肝を行います。本症例で肝の病証を考えるなら、肝腎同源の観点から肝陰虚の可能性も考慮しますが、根本は腎陰虚です。
- 4. 脾陽虚の主な症状は、食欲不振、腹部膨満、泥状便、浮腫、疲労感、舌淡胖大、脈緩弱などであり、本症例の腰下肢のだるさ、耳鳴り、舌紅、脈細数とは異なります。脾陽を補うのは、脾陽虚による運化機能の低下が主症状である場合です。 正しくは:食欲不振や下痢、浮腫などが顕著であれば脾陽を補うことを考えます。
国試ポイント
高齢者の腰下肢のだるさ、耳鳴り、舌紅、脈細数などの症状から腎陰虚を診断し、治療方針として腎陰補法を選択できること。
混同注意
腎陽虚と腎陰虚の鑑別は特に重要です。腎陽虚は寒証(冷え、舌淡、脈沈遅など)を伴い、腎陰虚は熱証(熱感、舌紅、脈細数など)を伴います。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合、「腰膝酸軟、耳鳴、眩暈、潮熱、盗汗、口乾、舌紅少苔、脈細数」などの症状があれば、腎陰虚と判断し、腎陰を補う治療方針を選択します。
覚え方
同様の論点が出た場合、「腰膝酸軟、耳鳴、眩暈、潮熱、盗汗、口乾、舌紅少苔、脈細数」などの症状があれば、腎陰虚と判断し、腎陰を補う治療方針を選択します。
対になる知識
腎陽虚と腎陰虚の鑑別は特に重要です。腎陽虚は寒証(冷え、舌淡、脈沈遅など)を伴い、腎陰虚は熱証(熱感、舌紅、脈細数など)を伴います。
関連知識
腎陰虚の代表的な方剤には六味地黄丸があり、臨床で多用されます。また、腎は「先天の精」を蔵し、老化と密接に関連するため、高齢者に腎虚証が多いことを理解しておく必要があります。