次の文で示す患者の病証で最も適切なのはどれか。「51歳の男性。2日前に強い寒冷環境で長時間の作業をした後、肩に固定性の痛みとこわばりが生じた。舌は淡、脈は緊を認める。」
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
問題文にある「強い寒冷環境での長時間の作業」は寒邪の侵襲を示唆し、「肩に固定性の痛みとこわばり」は寒邪が経絡に凝滞し気血の運行を阻害している状態、すなわち痛痹の特徴です。さらに「舌は淡、脈は緊」は寒邪による陽気の損傷と血管の収縮・気血凝滞を示す所見であり、痛痹の典型的な証候と合致します。
選択肢ごとの解説
- 1. 行痹は風邪を主因とし、痛みが移動性で定まらないのが特徴です。本症例の「固定性の痛み」とは矛盾します。 正しくは:痛みが遊走性で定まらない、関節の腫れや変形は少ないなどの特徴があれば行痹と考えられます。
- 2. 正解。強い寒冷環境での作業、固定性の痛みとこわばり、舌淡、脈緊といった所見が全て寒邪による痛痹の特徴と一致するためです。
- 3. 着痹は湿邪を主因とし、痛みが重だるく固定性で、関節のしびれや腫脹を伴うことが多いです。本症例では湿邪を示唆する所見(重だるさ、腫脹、苔の厚さ)がありません。 正しくは:重だるい痛み、関節のしびれや腫脹、苔の膩厚などがあれば着痹と考えられます。
- 4. 熱痹は熱邪を主因とし、関節の腫れや発赤、灼熱感、痛み、発熱などの炎症症状を伴います。舌は紅、脈は数となります。本症例の寒冷環境、舌淡、脈緊とは全く異なります。 正しくは:関節の腫脹・発赤・灼熱感、発熱、舌紅、脈数などの熱証を呈していれば熱痹と考えられます。
国試ポイント
痹証の分類(風痹、寒痹、湿痹、熱痹)とその主要な症状、脈診・舌診所見を区別して覚えることが重要です。特に寒邪による痛痹の症状を確実に識別できるようにしましょう。
混同注意
痹証は、風・寒・湿・熱の邪が単独または複合して体表や経絡に侵襲し、気血の運行を阻害することで生じます。痛痹は寒邪が主で痛みが固定しやすく、行痹は風邪が主で痛みが移動し、着痹は湿邪が主で痛みが重だるく固定し関節の腫脹も伴いやすい点で区別します。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、「痛みの性質(固定性か移動性か、重だるさ)」、「誘因(寒冷、湿気、風など)」、および「舌脈所見(淡、緊、滑、数など)」に着目して判断します。
覚え方
同様の問題が出た場合、「痛みの性質(固定性か移動性か、重だるさ)」、「誘因(寒冷、湿気、風など)」、および「舌脈所見(淡、緊、滑、数など)」に着目して判断します。
対になる知識
痹証は、風・寒・湿・熱の邪が単独または複合して体表や経絡に侵襲し、気血の運行を阻害することで生じます。痛痹は寒邪が主で痛みが固定しやすく、行痹は風邪が主で痛みが移動し、着痹は湿邪が主で痛みが重だるく固定し関節の腫脹も伴いやすい点で区別します。
関連知識
痹証の治療原則は、風寒湿邪を散らし、気血の運行を促進することです。痛痹では温経散寒、活血通絡の方剤や鍼灸治療(温鍼や艾灸)が有効とされます。代表的な方剤には烏頭湯などがあります。