徒手検査法
臨床医学
はじめに
徒手検査法は、特殊な医療器具を用いずに検査者の手で関節や筋肉に負荷をかけ、可動域や痛み、神経の圧迫などを調べる診察法です。医療現場だけでなく国家試験においても、特定の筋や靭帯の損傷、神経障害などの病態を鑑別するために欠かせない重要な役割を持ちます。
何を指すか
徒手検査法とは、器具を使わずに検査者の手を用いて、身体に特定のストレッチや負荷をかけることで各組織の状態を評価する検査の総称です。整形外科領域をはじめとする臨床医学において、痛みの原因や部位を特定するための基礎的な診察法として位置づけられています。
目的と適応
患者の訴える痛みやしびれの原因となっている組織を特定し、具体的な疾患を鑑別する目的で行われます。例えば、膝の靱帯損傷、股関節や下肢の筋肉の拘縮、梨状筋症候群、胸郭出口症候群、狭窄性腱鞘炎などの病態評価に適応されます。
方法
検査対象となる部位や組織に応じて、特定の肢位をとらせたり、関節を動かしたり、抵抗を加えたりします。例えば、前十字靱帯の評価では膝関節を屈曲位にして脛骨を前方に引き出し、梨状筋症候群の検査では股関節の内転・内旋や抵抗を加えた外転・外旋などの動作を行わせます。
判定と意義
検査時に疼痛が誘発されるか、可動域に制限があるか、あるいは関節が異常な方向に動くかどうかによって判定します。痛みの発生や特定の動きの増加がみられた場合は陽性と判断し、対応する組織の損傷や神経圧迫、筋の短縮などの病態が存在すると評価します。
国家試験のポイント
国家試験では、疾患名、評価する組織や筋、具体的な検査手技名(テスト名)の3つを正確に対比して覚えていることが問われます。例えば、前十字靱帯に対するラックマンテスト、腸腰筋の屈曲拘縮に対するトーマステスト、梨状筋症候群に対するボンネットテストやペイステストなどの組み合わせが頻出します。
間違えやすいところ
類似した名前のテストや似た病態に対する検査法が多く存在するため、それぞれの検査がどの組織や疾患に対応しているかを混同しやすい点に注意が必要です。例えば、梨状筋症候群の検査であるボンネットテストとフライバーグテスト、ペイステストでは、それぞれ手技の肢位や負荷の方向が異なるため、正確に区別して覚える必要があります。