次の文で示す患者の病因で最も適切なのはどれか。「28歳の女性。年末年始に接客が多忙だった。その後、徐々に気力がなくなり、疲れやすく、接客がつらい。」
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出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
問題文の「年末年始に接客が多忙だった」「徐々に気力がなくなり、疲れやすく、接客がつらい」という記述は、過労や労働による気の消耗を示唆しており、これは中医学における労倦(ろうけん)の典型的な病因である。労倦は過度の肉体労働や精神労働によって臓腑の機能が低下し、気血の生成や運行が滞ることで、疲労感や気力低下などの症状を呈する。
選択肢ごとの解説
- 1. 「思」は七情の一つであり、過度な思慮は脾を損傷し、気滞や気虚を引き起こす可能性があるが、本症例では「接客が多忙」という肉体・精神両面にわたる過労が強調されており、特定の感情の偏りよりも労倦がより適切である。 正しくは:「思」が病因となる場合は、「悩みが多い」「考えすぎた」「心配事で眠れない」など、精神的な負担が前面に出る記述となる。
- 2. 「寒邪」は六淫の一つで、外因性の病邪である。寒邪による病態は悪寒、発熱、頭痛、関節痛、脈が緊など、寒さに関連する症状が特徴であり、本症例の「気力がなくなり、疲れやすい」という症状とは合致しない。 正しくは:「寒邪」が病因となる場合は、「寒い環境に長時間いた」「風邪をひいて悪寒がする」「手足が冷えて痛む」など、寒さによる症状が主となる。
- 3. 正解。「労倦」は過度の肉体労働や精神労働による気の消耗を指す。問題文の「年末年始に接客が多忙だった」「徐々に気力がなくなり、疲れやすく、接客がつらい」という記述は、まさに過労による気血の消耗を示しており、労倦が最も適切な病因である。
- 4. 「飲食不節」は飲食の過不足や不潔な飲食、偏食などによって脾胃が損傷される病因である。主な症状は腹部膨満、食欲不振、下痢、悪心嘔吐など消化器系の症状が中心であり、本症例の「気力がなくなり、疲れやすい」という症状とは関連が薄い。 正しくは:「飲食不節」が病因となる場合は、「暴飲暴食した」「食事を抜くことが多かった」「特定の物ばかり食べた」など、飲食に関する記述と消化器症状が前面に出る。
国試ポイント
中医学における主要な病因(六淫、七情、労倦、飲食不節など)とその代表的な症状・病態を正確に理解し、臨床推論に活用できるかが問われる。
混同注意
思慮過度による心脾両虚(七情の一つ)と混同しやすいが、本症例では「接客が多忙」という肉体・精神両面にわたる過労が強調されており、特定の感情の偏りよりも労倦に重きが置かれる。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合は、患者の生活習慣や仕事内容、発症のきっかけとなる出来事に注目し、それが肉体的・精神的な過労に該当するかどうかを判断基準とする。特に「多忙」「疲れやすい」「気力がない」などのキーワードに注意する。
覚え方
同様の問題が出た場合は、患者の生活習慣や仕事内容、発症のきっかけとなる出来事に注目し、それが肉体的・精神的な過労に該当するかどうかを判断基準とする。特に「多忙」「疲れやすい」「気力がない」などのキーワードに注意する。
対になる知識
思慮過度による心脾両虚(七情の一つ)と混同しやすいが、本症例では「接客が多忙」という肉体・精神両面にわたる過労が強調されており、特定の感情の偏りよりも労倦に重きが置かれる。
関連知識
中医学の病因は、外因(六淫:風、寒、暑、湿、燥、火)、内因(七情:喜、怒、憂、思、悲、恐、驚)、不内外因(飲食不節、労倦、房事過多、外傷など)に分類される。労倦は「過労」を指し、肉体的な過労を「労力過度」、精神的な過労を「労心過度」とも言う。長期間の労倦は気虚や陰虚、脾胃の損傷を招きやすい。