次の文で示す病証で最も適切なのはどれか。「58歳の女性。昨夜から陰部掻痒感を自覚。最近イライラすることが多く、飲酒量が増えた。舌辺に黄厚膩苔、脈は左関上の浮数滑を認める。」
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出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
58歳女性の陰部掻痒感、イライラ、飲酒量の増加は肝鬱化火や湿熱内生を示唆します。舌辺の黄厚膩苔は湿熱の特徴であり、脈の左関上浮数滑は肝火旺盛と湿熱の証拠です。これら全てを総合すると、肝経湿熱が最も適切と判断できます。
選択肢ごとの解説
- 1. 胃陰虚は胃部不快感、口渇、舌紅少苔、脈細数などの症状を呈しますが、本症例の黄厚膩苔や左関上浮数滑脈、陰部掻痒感とは合致しません。 正しくは:口渇、食欲不振、胃部灼熱感、舌紅少苔、脈細数などがあれば胃陰虚が疑われます。
- 2. 胃熱は胃部灼熱感、口臭、便秘、舌紅苔黄などの症状を呈しますが、本症例の左関上浮数滑脈や陰部掻痒感、イライラなど肝の症状が前面に出ているため適切ではありません。 正しくは:口渇、口臭、胃部灼熱感、歯茎の腫れ・出血、舌紅苔黄、脈数などがあれば胃熱が疑われます。
- 3. 正解。陰部掻痒感は肝経が陰部を巡るため肝経の病変を示唆し、湿熱が下注した症状です。イライラや飲酒量増加は肝鬱化火の傾向を示唆します。舌辺の黄厚膩苔は湿熱の明確な所見であり、脈の左関上浮数滑は肝の熱と湿の停滞を表し、これら全てが肝経湿熱の証候と合致します。
- 4. 肝陽上亢は頭痛、めまい、耳鳴り、顔面紅潮、舌紅、脈弦などの症状を呈します。本症例の黄厚膩苔は湿の所見であり、肝陽上亢の典型的な舌苔ではありません。陰部掻痒感も肝陽上亢よりは湿熱の症状と考えられます。 正しくは:めまい、頭痛、顔面紅潮、耳鳴り、舌紅少苔、脈弦数などがあれば肝陽上亢が疑われます。
国試ポイント
中医学における肝の病態(肝鬱、肝火、肝陽、肝風)と湿熱の組み合わせ、およびそれらの代表的な症候(舌診、脈診を含む)を理解することが重要です。
混同注意
肝陽上亢と肝経湿熱は、どちらも肝の病態に関連しますが、湿熱の特徴である「膩苔」の有無が鑑別のポイントになります。肝陽上亢は燥を伴うことが多く、湿を伴う黄厚膩苔は典型的ではありません。
次に同じ論点が出たら
陰部掻痒感、口苦、脇痛など「湿熱」を示唆する局所症状と、黄厚膩苔や滑脈といった「湿熱」の全身所見が同時に認められるかを次回以降の判断基準とします。
覚え方
陰部掻痒感、口苦、脇痛など「湿熱」を示唆する局所症状と、黄厚膩苔や滑脈といった「湿熱」の全身所見が同時に認められるかを次回以降の判断基準とします。
対になる知識
肝陽上亢と肝経湿熱は、どちらも肝の病態に関連しますが、湿熱の特徴である「膩苔」の有無が鑑別のポイントになります。肝陽上亢は燥を伴うことが多く、湿を伴う黄厚膩苔は典型的ではありません。
関連知識
肝経湿熱は、帯下、陰部掻痒、黄疸、脇痛、口苦、小便黄などの症状を呈することがあります。治療には清熱利湿の原則が用いられ、龍胆瀉肝湯などが代表的な処方です。