「3歳の女児。滑り台から落ちて右手をつき、右肘過伸展を強いられ受傷。近医を受診、右肘部変形があり、肘部前面の皮下出血と示指・中指のしびれが認められた。」 最も考えられる障害神経はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
正中神経は母指の対立運動や、示指・中指のMP関節屈曲およびPIP関節屈曲に関与します。症例では母指と示指の巧緻運動が困難であり、これらは正中神経支配の筋(母指対立筋、虫様筋外側2つ、浅指屈筋、深指屈筋の外側半分)の機能障害を示唆しているため、正中神経の障害が最も考えられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 腋窩神経は三角筋と小円筋を支配し、肩関節の外転、屈曲、外旋に関与します。本症例の母指と示指の巧緻運動障害とは直接関連がありません。 正しくは:三角筋と小円筋の麻痺による肩関節の外転・外旋障害、三角筋部の感覚鈍麻。
- 2. 正解。正中神経は母指対立筋、母指外転筋(一部)、短母指屈筋(一部)などを支配し、母指の対立運動や示指・中指の屈曲運動に関与します。症例の「母指と示指の巧緻運動が困難」という所見に合致します。
- 3. 筋皮神経は上腕二頭筋、上腕筋、烏口腕筋を支配し、肘関節の屈曲や前腕の回外に関与します。本症例の母指と示指の巧緻運動障害とは直接関連がありません。 正しくは:上腕二頭筋、上腕筋の麻痺による肘関節屈曲力の低下、前腕回外障害。
- 4. 尺骨神経は、小指球筋、虫様筋(内側2つ)、骨間筋、母指内転筋などを支配し、主に指の開閉運動や小指の運動、母指の内転運動に関与します。本症例の「母指と示指の巧緻運動が困難」は正中神経領域の症状が強く、尺骨神経の主症状とは異なります。 正しくは:小指・環指の屈曲障害、指の開閉運動障害、母指内転障害(Froment徴候陽性)、小指球筋・骨間筋の萎縮(鷲手)。
国試ポイント
上肢の神経障害において、主要な神経(正中神経、尺骨神経、橈骨神経、腋窩神経、筋皮神経)の支配筋とそれに対応する運動機能障害を理解し、症例から障害神経を特定できるようにすること。
混同注意
正中神経と尺骨神経の障害による巧緻運動障害の区別。特に母指球筋の萎縮と猿手、鷲手の違いを明確に理解することが重要です。
次に同じ論点が出たら
同様の症例が出た場合、母指の対立運動、示指と中指の屈曲障害の有無、および母指球筋の萎縮の有無をまず確認し、正中神経障害の可能性を判断します。次に、感覚障害の範囲(特に母指、示指、中指の掌側)を確認して確定診断します。
覚え方
同様の症例が出た場合、母指の対立運動、示指と中指の屈曲障害の有無、および母指球筋の萎縮の有無をまず確認し、正中神経障害の可能性を判断します。次に、感覚障害の範囲(特に母指、示指、中指の掌側)を確認して確定診断します。
対になる知識
正中神経と尺骨神経の障害による巧緻運動障害の区別。特に母指球筋の萎縮と猿手、鷲手の違いを明確に理解することが重要です。
関連知識
正中神経麻痺では猿手(母指の対立運動障害による母指球筋の萎縮と母指CM関節の伸展・外転位)を呈し、感覚障害は母指から中指橈側半分の掌側に見られます。テストとしては、母指対立運動(OKサイン)が有名です。