次の症例で最も適切な臓腑病証はどれか。「75歳の男性。夜間の頻尿と咳で不眠が続いている。口が乾き、から咳がみられ、腰膝酸軟と盗汗を伴う。舌質は痩、脈は細を認める。」
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
症例は75歳男性の高齢者であり、夜間頻尿、不眠、口乾、空咳、腰膝酸軟、盗汗、舌質痩、脈細といった一連の症状は、腎陰虚と肺陰虚の典型的な症候を示しています。これらが結合し、陰虚火旺を形成しているため、肺腎陰虚が最も適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 心腎不交は、心火亢進と腎陰虚が原因で、動悸、不眠、多夢、精神不安、五心煩熱、盗汗などを呈します。本症例では動悸や精神不安といった「心」の主要な症状の記載がなく、空咳や夜間頻尿といった「肺」と「腎」の症状が前面に出ています。 正しくは:心腎不交の診断には、動悸や精神不安の症状が加わる必要があります。
- 2. 心肝血虚は、心血と肝血がともに不足した病態で、動悸、めまい、不眠、多夢、顔色蒼白、爪の異常、しびれなどを呈します。本症例ではこれらの血虚の主要な症状が記載されておらず、口乾、から咳、夜間頻尿、盗汗といった陰虚の症状が主です。 正しくは:心肝血虚の診断には、動悸、めまい、顔色蒼白などの血虚症状の存在が必要です。
- 3. 肺脾気虚は、肺気虚と脾気虚が合併した病態で、息切れ、咳(特に気力がない咳)、痰多、食欲不振、腹部膨満感、泥状便、倦怠感などを呈します。本症例では「から咳」や「口乾」があり、これらは陰虚の症状であり、気虚の主要な症状である息切れや泥状便などの記載がありません。舌質痩、脈細も陰虚の所見です。 正しくは:肺脾気虚の診断には、息切れ、疲労倦怠感、食欲不振、下痢などの気虚症状の存在が必要です。
- 4. 正解。本症例は、夜間頻尿、腰膝酸軟、盗汗といった腎陰虚の症状と、口乾、から咳といった肺陰虚の症状を明確に示しています。舌質痩、脈細は陰虚の客観的な所見であり、高齢者であることも陰虚証を支持します。これら全ての症状が肺腎陰虚の病態と完全に合致します。
国試ポイント
高齢者における腎の機能低下と、それに伴う肺との関連症状(陰虚証)を理解することが重要です。夜間頻尿、腰膝酸軟、盗汗は腎陰虚の核症状であり、口乾、空咳は肺陰虚の核症状です。
混同注意
肺腎陰虚と心腎不交は、ともに不眠や盗汗を伴うことがありますが、心腎不交は動悸、健忘、精神不安など「心」の症状がより顕著です。肺腎陰虚は咳、口乾など「肺」の症状と腰膝酸軟、夜間頻尿など「腎」の症状が主です。
次に同じ論点が出たら
高齢者の不眠、口乾、から咳、腰膝酸軟、盗汗といった症状群を見たら、陰虚証を疑い、特に「肺」と「腎」の症状が組み合わされているかを確認して判断します。
覚え方
高齢者の不眠、口乾、から咳、腰膝酸軟、盗汗といった症状群を見たら、陰虚証を疑い、特に「肺」と「腎」の症状が組み合わされているかを確認して判断します。
対になる知識
肺腎陰虚と心腎不交は、ともに不眠や盗汗を伴うことがありますが、心腎不交は動悸、健忘、精神不安など「心」の症状がより顕著です。肺腎陰虚は咳、口乾など「肺」の症状と腰膝酸軟、夜間頻尿など「腎」の症状が主です。
関連知識
肺は水の上源、腎は水の主であり、両者の陰液は相互に滋養し合っています(金水相生)。腎陰が不足すると肺陰を滋養できず肺陰虚を招き、肺陰虚が長引くと腎陰も消耗します。また、肝腎同源、脾腎陽虚なども関連知識として重要です。