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病気の解説

脊柱管狭窄症

まず相談する診療科整形外科
この解説の項目8項目

緊急性の高い症状

腰部脊柱管狭窄症では、まれに、腰の下の方の神経の束(馬尾)が強く圧迫される「馬尾症候群」が起こることがあります(MSDマニュアル家庭版)。次のような症状があるときは、直ちに受診が必要とされています(MSDマニュアル家庭版)。

  • 尿や便が出しにくい、または漏れてしまうなど、排尿・排便がうまくコントロールできない
  • お尻や股のまわり(陰部)の感覚が鈍い、またはなくなった
  • 脚に力が入らない、脚が動かしにくい

馬尾症候群には緊急の処置が必要とされ、治療しないと両脚が完全に麻痺することがあります(MSDマニュアル家庭版)。夜間・休日でもすぐに救急外来などの医療機関を受診してください。

出典:MSDマニュアル家庭版「腰部脊柱管狭窄症」「馬尾症候群」

当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。

受診の目安

  • 歩いたり立っていたりすると、お尻・太もも・ふくらはぎが痛んだりしびれたりして、休んだり前かがみになったりすると楽になる、ということをくり返すときは、医療機関を受診してください(MSDマニュアル家庭版)(NIAMS)。受診先は整形外科が一般的で、脊椎を扱う脳神経外科などで診ることもあります。
  • 手や腕、脚のしびれや力の入りにくさ、ふらつきがあるときも受診してください。首の脊柱管が狭くなり脊髄が圧迫されているとき、こうした症状が出ることがあります(MSDマニュアル家庭版)。
  • しびれや筋力の低下が歩くことに支障をきたしているときは、早めの手術が勧められる場合があるとされています(NIAMS)。

脚の痛みやしびれは、ほかの病気でも起こり、症状だけで病名は判断できません。自己判断せず、医師の診察や検査を受けてください。

基本

脊柱管狭窄症とは

背骨(脊椎)の中には、脊髄やそこから枝分かれする神経が通る管があり、これを脊柱管といいます。脊柱管狭窄症は、この管や神経の出口が狭くなり、脊髄や神経が圧迫されて痛みなどが起こる状態です(NIAMS)(MedlinePlus)。狭くなる変化は、多くの場合ゆっくり進みます(NIAMS)。

起こりやすいのは腰(腰部)と首(頸部)です(NIAMS)。腰で起こるものを腰部脊柱管狭窄症、首で起こるものを頸部脊柱管狭窄症と呼びます(MSDマニュアル家庭版)。腰部脊柱管狭窄症は、高齢の方の腰痛のよくある原因の一つとされています(MSDマニュアル家庭版)。

主な症状

症状はゆっくり出てくることが多く、症状がまったくない人もいます(NIAMS)(MedlinePlus)。どこが狭くなっているかで症状が変わります(NIAMS)。

  • 腰の場合:腰の痛みが、片脚または両脚のお尻・太もも・ふくらはぎへと広がることがあります。脚のしびれや力の入りにくさがみられることもあります(MSDマニュアル家庭版)(NIAMS)。
  • 姿勢や動作で変わる:歩く、立つ、腰を反らすと悪くなり、前かがみになる、座ると和らぎます(MSDマニュアル家庭版)(NIAMS)。坂道は下りより上りの方が楽で、ショッピングカートや歩行器を押すような少し前かがみの姿勢で楽になることがよくあります(MSDマニュアル家庭版)。前かがみになると、神経のまわりのすき間が広がるためと説明されています(NIAMS)。
  • 首の場合:首の痛みや動かしにくさのほか、脊髄が圧迫されると、腕・手・脚・足のしびれやピリピリ感、力の入りにくさ、バランスのとりにくさが出ることがあります(MSDマニュアル家庭版)。
  • 重い場合:排尿・排便や性機能に問題が出ることがあります(NIAMS)。

原因・なりやすい要因

  • 加齢による変化:最も多い原因です。靭帯が厚くなる、骨や関節が大きくなる、骨のとげ(骨棘)ができる、椎間板が傷んでふくらむ、といった変化で管が狭くなります(NIAMS)。
  • 背骨や関節の病気:変形性関節症、背骨がずれる脊椎すべり症、脊椎分離症などが原因となります(MSDマニュアル家庭版)(NIAMS)。首では、椎間板ヘルニアや後縦靭帯骨化なども原因に挙げられています(MSDマニュアル家庭版)。
  • 生まれつきの要因:生まれつき脊柱管が細い人は、中年でも起こることがあります(MSDマニュアル家庭版)(NIAMS)。側弯症も関係します(NIAMS)(MedlinePlus)。
  • そのほか:背骨のけが、骨折、腫瘍、骨パジェット病などで起こることもあります(NIAMS)。

主に50歳を超える人に多く、若い人では背骨のけがや、生まれつき脊柱管が狭いことが関係するとされています(MedlinePlus)。

検査と診断

診断

  • 問診と診察:痛みの場所や広がり方、感じ方、いつからかを確認します。背骨の動く範囲、反らすと痛みが強くなるか、前かがみで楽になるか、手足の感覚・筋力・反射、バランスや歩き方なども調べます(NIAMS)。
  • 画像検査:骨の状態を見るX線検査、神経や椎間板などを詳しく見るMRI、骨を詳しく見るCTなどが行われます(NIAMS)(MSDマニュアル家庭版)。
  • 神経の検査:必要に応じて、神経や筋肉の電気的な検査を行うことがあります(MSDマニュアル家庭版)。

画像で狭くなっていることが分かっても、それだけで治療が必要かどうかは決まらないとされています(NIAMS)。

治療

治療

多くの場合、まずは痛みを和らげる治療を行い、効果が不十分なときに手術が検討されます(MSDマニュアル家庭版)(NIAMS)。

  • 手術以外の治療:理学療法(背骨の動きを保つ運動、おなかや背中の筋肉を鍛える運動など)、コルセットなどの装具、痛み止めや炎症を抑える薬、神経の痛みに使う薬、神経の近くへの注射などがあります(NIAMS)(MSDマニュアル家庭版)(MedlinePlus)。
  • 手術:症状が続く場合に、骨の一部を削って神経の通り道を広げる手術(椎弓切除術など)が行われます。背骨が不安定な場合は、骨どうしを固定する手術(脊椎固定術)を行うこともあります(NIAMS)(MSDマニュアル家庭版)。小さな切開で行える場合もあります(MSDマニュアル家庭版)(NIAMS)。

手術を受けた人の多くは脚の痛みが軽くなり、歩きやすくなるとされています。一方で、すでに神経が傷んでいると痛みやしびれが残ることがあり、背骨の変化が進んで症状が再び出ることもあります(NIAMS)。どの治療を選ぶかは、症状や全身の状態をふまえて医師と相談して決めます(NIAMS)。

日常生活の注意

  • 無理のない範囲で、定期的に体を動かすことが勧められています。水泳や固定式の自転車こぎのような運動が勧められることがあります。新しく運動を始める前は医師に相談してください(NIAMS)。
  • 長くベッドで安静にしていると、体幹の筋力が落ちたりこわばったりして、かえって痛みが悪化し回復が遅れるとされています(MSDマニュアル家庭版)。
  • 痛みが出やすい動作を知り、ペースを配分して無理をしないようにしましょう(NIAMS)。
  • 歩くときに体を安定させる補助具を使う、少し前かがみの姿勢で症状を和らげる、といった工夫も役立つことがあります(NIAMS)。
  • 適正な体重を保ち、たばこを吸う方は禁煙が勧められています(NIAMS)。

日常生活の注意は、担当の医師の指示を優先してください。

整形外科で扱うほかの病気

国家試験での出題

医療系の国家試験で、この病気に関係して出題された過去問です(学生・受験生向け)。

出典

MSDマニュアル家庭版「腰部脊柱管狭窄症」 / MSDマニュアル家庭版「頸部脊柱管狭窄症」 / MSDマニュアル家庭版「馬尾症候群」 / NIAMS「Spinal Stenosis」(Diagnosis, Treatment, and Steps to Take) / MedlinePlus「Spinal Stenosis」
内容の確認日:2026-10-16(次回確認予定 2027-04-16)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。

この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。