筋力低下

病理学

はじめに

筋力低下とは、随意筋を収縮させる力が正常よりも弱くなった状態を指します。神経や筋肉の疾患、あるいは加齢や全身状態の悪化など、様々な原因によって生じる重要な臨床症状です。

何を指すか

筋力低下は、身体を動かすための筋肉や、それを支配する神経系に異常が生じることで起こる運動機能の低下です。特定の神経や筋肉の障害による局所的なものから、全身的なフレイル状態の一症状として現れるものまで幅広く存在します。

病態と機序

神経筋疾患や神経の障害によって引き起こされます。例えば、副神経が障害されると僧帽筋や胸鎖乳突筋に、橈骨神経が障害されると手関節の背屈に関わる筋群に麻痺が生じます。また、デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは近位筋が変性し、筋力低下が起こります。さらに、ギラン・バレー症候群では末梢神経の自己免疫障害によって、筋力低下や麻痺が下肢から上肢へ上行性に進行します。

分類と所見

筋力低下の現れ方や原因となる病態は多岐にわたります。デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは下肢帯筋の筋力低下により登はん性起立がみられ、筋萎縮性側索硬化症では上位および下位運動ニューロンの変性により進行性の筋力低下や筋萎縮が生じます。また、改訂日本版フレイル基準(J-CHS基準)においては、握力低下による筋力低下が評価項目のひとつとして挙げられています。

国家試験のポイント

国家試験では、特定の神経や筋肉の障害と筋力低下の症状を結びつけて問われることが多くあります。副神経障害による僧帽筋・胸鎖乳突筋の筋力低下、橈骨神経麻痺による下垂手、ギラン・バレー症候群の先行感染や上行性麻痺、筋萎縮性側索硬化症の運動ニューロン障害などを正確に把握しておくことが重要です。

間違えやすいところ

筋力低下を引き起こす疾患同士の病態の混同に注意が必要です。例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーはX連鎖劣性遺伝形式をとる遺伝性筋疾患ですが、重症筋無力症はアセチルコリン受容体に対する自己抗体を原因とする神経筋接合部疾患であり、脳性麻痺は小児期の脳の非進行性損傷による運動機能障害であるため、それぞれの発症機序や病態を明確に区別して理解する必要があります。

筋力低下が問われる国家試験問題(8問)

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