病気の解説

境界性パーソナリティ障害

別名:ボーダーラインパーソナリティ症、境界例心性、境界型パーソナリティ障害、境界型人格障害

まず相談する診療科精神科
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緊急性の高い状態

  • 命の危険が差し迫っているとき(自分や他人を傷つけそう、すでに大きなけがをした、薬などを大量に飲んだ など)は、ためらわずに119番で救急車を呼んでください(NIMH)。
  • 「死にたい」という気持ちが強いとき、自傷をしてしまいそうなときは、一人で抱えずに、すぐに主治医や身近な人、相談窓口に連絡してください。厚生労働省の「まもろうよ こころ」では、24時間つながる電話相談(#いのちSOS:0120-061-338、よりそいホットライン:0120-279-338)や、SNS・チャットでの相談窓口が案内されています(厚生労働省)。
  • 家族や周りの人は、自傷や自殺をほのめかす言葉を軽く受け流さず、真剣に受け止めることが大切です(NIMH)。

出典:NIMH「Borderline Personality Disorder」、厚生労働省「まもろうよ こころ」

当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。

受診の目安

  • 気分の浮き沈みが激しく、怒りを抑えられないことが続き、生活や人間関係に支障が出ているとき
  • 見捨てられることへの強い不安、慢性的な虚しさ、自分が何者かわからない感覚に悩んでいるとき
  • 浪費、むちゃ食い、危険な運転などの衝動的な行動をくり返してしまうとき
  • 自傷をしてしまう、死にたい気持ちがくり返し浮かぶとき

相談先は精神科や心療内科です。診断は、精神保健の専門家が症状やこれまでの経過、家族歴をよく聞いたうえで行い、ほかの原因がないかを確かめるために身体の診察が行われることもあります(NIMH)。うつ病や双極性障害など、似た症状を示す病気もあるため、症状だけで自己判断することはできません(NIMH)。

基本

境界性パーソナリティ障害とは

感情をうまく調整することが難しく、気分・自己像・人間関係が不安定になりやすい心の病気です(NIMH)(MSDマニュアル家庭版)。拒絶されたり見捨てられたりすることにとても敏感で、衝動的な行動がみられることも特徴とされます(MSDマニュアル家庭版)。思春期の終わりから成人期のはじめごろに診断されることが多いとされます(NIMH)。適切な治療で症状を和らげ、日常生活を立て直すことができる病気です(NIMH)。

主な症状

すべての症状がそろうわけではなく、重さも人によって違います(NIMH)。

  • 見捨てられ不安:待ち合わせに相手が遅れるといった小さな出来事でも、強い不安や怒りがわくことがあります(MSDマニュアル家庭版)。
  • 不安定で激しい人間関係:相手を理想化したかと思うと、急に強く否定するなど、関係が大きく揺れ動きます(MSDマニュアル家庭版)(NIMH)。
  • 気分の急な変化:数時間から数日の単位で、激しい気分の変化が起こります(NIMH)。
  • 強い怒り:怒りを抑えにくく、あとで恥ずかしさや罪悪感を感じることがあります(MSDマニュアル家庭版)。
  • 自己像の不安定さ・虚しさ:自分のイメージや目標が変わりやすく、慢性的な空虚感を抱えることがあります(NIMH)。
  • 衝動的な行動:浪費、むちゃ食い、危険な運転、ギャンブルなど(MSDマニュアル家庭版)。
  • 自傷・自殺に関わる行動:自分を傷つける行為や、死にたい気持ち・行動をくり返すことがあります(NIMH)。
  • 現実感がなくなる感覚:強いストレスがかかったときに、自分や周りから切り離されたように感じることがあり、多くは一時的です(MSDマニュアル家庭版)。

うつ病、不安障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、摂食障害、物質使用障害などを併せ持つことも少なくありません(NIMH)(MSDマニュアル家庭版)。

原因・なりやすい要因

原因ははっきりわかっていませんが、生まれ持った要因と環境の要因が組み合わさって起こると考えられています(MSDマニュアル家庭版)。

  • 家族にこの病気の人がいること(NIMH)
  • 衝動や感情をコントロールする脳の働きの違い(ただし、原因なのか結果なのかはわかっていません)(NIMH)
  • 子どものころのつらい体験(虐待、育児放棄、養育者との別離など)や、不安定な人間関係(NIMH)(MSDマニュアル家庭版)

これらの要因があっても必ず発症するわけではなく、要因がなくても発症することがあります(NIMH)。

治療

治療

  • 精神療法(心理療法):治療の中心です。この病気のために開発された弁証法的行動療法(DBT)は、感情のコントロール、マインドフルネス、人との関わり方のスキルを身につける治療です。認知行動療法、メンタライゼーションに基づく治療、スキーマ療法なども用いられます(NIMH)(MSDマニュアル家庭版)。
  • 薬物療法:病気そのものを治す第一の治療ではありませんが、気分の落ち込みや気分の波など、特定の症状や併存する病気に対して、精神療法と組み合わせて使われることがあります(NIMH)(MSDマニュアル家庭版)。
  • 併存する病気の治療:うつ病や物質使用障害などがあれば、その治療も大切です(MSDマニュアル家庭版)。

日常生活の注意・家族の関わり方

治療は、主治医の指示を最優先にしてください。薬をやめたり変えたりしたいときは、自己判断せず医師に相談します(NIMH)。

  • 規則正しい生活リズムと健康的な生活習慣を心がけます(NIMH)。
  • 家族は、病気について学び、本人の気持ちを受け止め、根気よく支えることが勧められています。家族療法を利用する方法もあります(NIMH)。
  • 支える家族自身も疲れやすいため、家族自身がカウンセリングを受けることも勧められています(NIMH)。

経過と生活

経過

多くの人で、時間とともに症状が大きく軽くなり、消えることもあるとされます。一方で、人間関係や仕事などの生活面の回復は、症状の改善より遅れて進むことが多いとされます(MSDマニュアル家庭版)。自殺の危険がある病気でもあるため、治療を続け、危険を感じたときは早めに助けを求めることが大切です(MSDマニュアル家庭版)(NIMH)。

精神科で扱うほかの病気

国家試験での出題

医療系の国家試験で、この病気に関係して出題された過去問です(学生・受験生向け)。

出典

NIMH「Borderline Personality Disorder」 / MSDマニュアル家庭版「ボーダーラインパーソナリティ症」 / 厚生労働省「まもろうよ こころ」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。

この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。