病気の解説
気管支喘息
別名:アスピリン喘息、吸入ステロイド薬、喘息、喘息発作
緊急性の高い症状
喘息の発作が重いときは、急いで治療を受ける必要があります。治療が遅れると命にかかわることがあります(MSDマニュアル家庭版)。
- 息苦しくて動けない。横になれないほど苦しい発作が、発作止めを使っても良くならない(環境再生保全機構)
- 息つぎの間に、ひと言ふた言しか話せない(MSDマニュアル家庭版)
- 唇や指先が青紫色になる、意識がぼんやりする、ひどく眠そうになる(MSDマニュアル家庭版)(環境再生保全機構)
- 呼吸が弱々しくなる。ゼーゼーという音が小さくなるのは、空気がほとんど通っていないサインのことがあります(MSDマニュアル家庭版)(環境再生保全機構)
- 子どもでは、息を吸うたびに肋骨のあたりが大きく動く、前かがみに座る、汗をかく、顔色が青白い・青紫色になる(MSDマニュアル家庭版)
- 発作止めの吸入薬を使っても良くならない(MSDマニュアル家庭版)
動けないほどの発作や、唇が青い・呼吸が弱いといったときは、ためらわず救急車(119番)を呼ぶか、救急外来を受診してください(環境再生保全機構)。
出典:MSDマニュアル家庭版「喘息」「小児の喘息」、環境再生保全機構「発作が起こったら…」
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- せきやゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音、息苦しさを何度もくり返す、とくに夜間や明け方に強くなる、運動したときや冷たい空気・煙を吸ったときに出る、といったときは、医療機関(大人は呼吸器内科など、子どもは小児科など)を受診してください(環境再生保全機構)(MSDマニュアル家庭版)。
- せきだけが長く続くタイプの喘息もあり、小さな子どもではせきだけが症状のこともあります(MSDマニュアル家庭版)。
- 喘息と診断されている方で、息苦しさで眠れない、発作止めの薬が効きにくい、手もとに発作止めの薬がない、といったときは、ためらわず受診してください(環境再生保全機構)。
- 夜間に発作が起こるのは、喘息がうまく抑えられていないサインのことがあるとされます。早めに担当の医師に相談してください(MSDマニュアル家庭版)。
ゼーゼーという呼吸音や息苦しさは、気管支炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、ほかの病気でも起こります。症状だけで喘息かどうかは判断できないため、医師の診察と検査を受けてください(MSDマニュアル家庭版)。
基本
気管支喘息とは
気管支喘息は、空気の通り道である気道に慢性的な炎症が続く病気です(環境再生保全機構)。炎症のある気道は刺激に敏感になっていて、ちょっとした刺激でも気道の筋肉が縮み、内側がむくみ、たんが増えて、空気の通り道が狭くなります(MSDマニュアル家庭版)(環境再生保全機構)。この狭まりは、多くの場合、治療によって元に戻ります(MSDマニュアル家庭版)。
子どもに多い慢性の病気の一つで、5歳までに始まることが多いとされます(MSDマニュアル家庭版)。一方、大人になってから始まる喘息も多く、中高年の喘息の多くは成人してから発症しています(環境再生保全機構)。子どもの喘息はアレルギーが関わる例がほとんどですが、大人ではアレルギーの原因が見つからない喘息も少なくありません(環境再生保全機構)。
主な症状
- せき、息を吐くときのゼーゼー・ヒューヒューという音(喘鳴)、息切れ、胸が締めつけられる感じ(MSDマニュアル家庭版)
- 夜間から明け方にかけて症状が出やすい(環境再生保全機構)(MSDマニュアル家庭版)
- 運動したとき、冷たい空気や煙を吸ったときにせきや息苦しさが出る(環境再生保全機構)
- 発作は急に起こることも、少しずつ強くなることもあり、数分から数日続くことがあります。発作中は不安を感じ、前かがみになったり、汗をかいたり、脈が速くなったりします(MSDマニュアル家庭版)。
発作のないときは、ふだんどおり過ごせる人も多くいます(MSDマニュアル家庭版)。
原因・なりやすい要因
喘息がなぜ起こるのか、はっきりした原因はわかっていません。体質(遺伝的な素因やアレルギー体質)と、まわりの環境の両方が関わると考えられています(MSDマニュアル家庭版)(環境再生保全機構)。家族に喘息やアレルギーのある人がいること、妊娠中の母親の喫煙、早産や低い出生体重、肥満などが、なりやすさに関係するとされます(MSDマニュアル家庭版)。
発作を引き起こすきっかけ(誘因)には、次のようなものがあります(MSDマニュアル家庭版)(環境再生保全機構)。
- ダニやハウスダスト、花粉、カビ、ペットの毛やふけ、ゴキブリなどのアレルゲン
- かぜなどのウイルス感染
- たばこの煙(受動喫煙を含む)、大気汚染、香水や洗剤などの強いにおい
- 運動、冷たい空気
- 強いストレスや感情の高ぶり
- 一部の人では、アスピリンなどの痛み止め(解熱鎮痛薬)
- 胃酸の逆流(胃食道逆流症)
検査と診断
診断
診断は、症状の特徴や経過をもとに行い、肺の機能を調べる検査(スパイロメトリー)で確かめます。気管支を広げる薬を吸う前と後で、息を吐く勢いがどう変わるかを調べることもあります(MSDマニュアル家庭版)。家庭では、息を吐く速さを測る「ピークフローメーター」を使って、日々の状態を記録することがあります(MSDマニュアル家庭版)(環境再生保全機構)。
発作のきっかけとなるアレルゲンを調べるために、皮膚テストなどのアレルギー検査を行うことがあります(MSDマニュアル家庭版)。
治療
治療
治療の目標は、症状のない、ふつうの生活を送れるようにすることです(環境再生保全機構)。薬は大きく2種類に分けられます(環境再生保全機構)(MSDマニュアル家庭版)。
- 長期管理薬(コントローラー):気道の炎症を抑え、発作を予防するために毎日続ける薬です。中心となるのは吸入ステロイド薬で、必要に応じて長時間効く気管支拡張薬などを組み合わせます(環境再生保全機構)(MSDマニュアル家庭版)。
- 発作治療薬(リリーバー):発作のときに、狭くなった気道をすばやく広げる吸入薬などです。炎症そのものは抑えないため、これだけに頼っていると喘息が悪化することがあります(環境再生保全機構)。
重い喘息で症状が抑えられない場合は、炎症に関わる物質の働きを抑える注射薬(生物学的製剤)などが追加されることがあります(環境再生保全機構)(MSDマニュアル家庭版)。重い発作では入院して治療することがあります(MSDマニュアル家庭版)。
症状が軽くなっても気道の炎症は続いていることがあるため、自己判断で薬を減らしたりやめたりしないことが大切です。症状のない状態がしばらく続いたら、医師の判断で薬を減らすことがあります(環境再生保全機構)。子どもには、吸入を補助する器具(スペーサー)や吸入器(ネブライザー)が使われることがあります(MSDマニュアル家庭版)。
日常生活の注意
- 正しい吸入のしかたを身につけることが大切です。吸入ステロイド薬のあとは、うがいをすると口の中のカビ(カンジダ)を防ぐのに役立つとされます(環境再生保全機構)。
- 発作のときの対応(どの薬を使い、どうなったら受診するか)を、あらかじめ医師と決めておくことが勧められています(環境再生保全機構)(MSDマニュアル家庭版)。
- 寝具の手入れや掃除、湿度の管理でダニやカビを減らし、ペットの毛やふけにも注意しましょう(MSDマニュアル家庭版)。
- たばこは吸わず、受動喫煙も避けましょう(MSDマニュアル家庭版)。
- 運動を避ける必要はないとされています。運動で発作が起きやすい人は、前もって薬を使うよう指示されることがあります(MSDマニュアル家庭版)。
- 子どもの場合は、学校や保育の先生に病気と薬のことを伝えておきましょう(MSDマニュアル家庭版)。
日常生活の注意は、担当の医師の指示を優先してください。
経過と生活
経過
喘息は根本的に治す方法がない慢性の病気ですが、治療を続けることで発作の多くは予防できるとされます(MSDマニュアル家庭版)。子どもの喘息は成長とともに良くなることが多い一方、4人に1人ほどは発作が続いたり、大きくなってから再び出たりするとされます(MSDマニュアル家庭版)。大人の喘息は治りにくいとされています(環境再生保全機構)。治療をせずに炎症が長く続くと、気道の壁が厚く硬くなって元に戻りにくくなり、喘息が重くなることがあります(環境再生保全機構)。喘息による死亡の多くは、適切な治療で防げると考えられています(MSDマニュアル家庭版)。
気管支喘息と関係する症状
症状のページでは、同じ症状が出るほかの病気や受診の目安も確認できます。
呼吸器内科で扱うほかの病気
国家試験での出題
医療系の国家試験で、この病気に関係して出題された過去問です(学生・受験生向け)。
出典
MSDマニュアル家庭版「喘息」 / MSDマニュアル家庭版「小児の喘息」 / 環境再生保全機構「ぜん息とは」 / 環境再生保全機構「ぜん息の薬」 / 環境再生保全機構「成人ぜん息の治療、治療の全体像」 / 環境再生保全機構「発作が起こったら…」
内容の確認日:2026-10-16(次回確認予定 2027-04-16)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。