うつ病
うつ病は、悲しみや活動への興味が失われることで日常生活に大きな支障をきたす心の病気です。遺伝や体内の物質の変化、つらい出来事など様々な要因が絡み合って発症し、適切な治療が重要になります。
とは
うつ病は、悲しみを感じたり、活動に対する興味や喜びが減少したりする症状がその人の社会生活を困難にするほど強くなり、病気になった状態です。10代半ば、20代、または30代に発症するのが典型的ですが、小児期を含むあらゆる年齢で発症する可能性があります。
原因と仕組み
うつ病のはっきりした原因は分かっていませんが、遺伝、薬剤の副作用、つらい出来事、ホルモンなど体内の物質の量の変化、その他の要因が一因になります。また、がんや心臓発作、甲状腺の病気などの身体疾患や特定の薬の副作用、喪失体験などのストレスが発症や悪化の誘因となります。
症状
うつ病になると、悲しみに沈み、動作が緩慢になり、以前は楽しんでいた活動に対する興味や喜びをすべて失ってしまいます。強い罪悪感や自己否定、絶望感、孤独感が生じ、集中力の低下や決断力の低下がみられます。また、死や自殺について考えることもあります。睡眠障害としては寝つきが悪く何度も目が覚めることが多く、食欲不振による体重減少のほか、軽度の場合には過食や体重増加がみられることもあります。高齢者では悲しみよりも思考の鈍化や集中力の低下、記憶困難など認知症に似た症状が引き起こされることがあります。
受診の目安
うつ病の症状は数日から数週間かけて徐々に現れます。悲しみや興味の喪失が続き、日常生活や社会生活に大きな支障をきたしている場合や、死や自殺について考えるような危険なサインがある場合は、医療機関の受診が必要です。高齢者の場合は、熱意や自発性の低下、ユーモアの喪失、もの忘れなどのパーソナリティの変化に周囲が注意を払い、医療機関に相談することが大切です。
検査・診断
うつ病の診断は症状に基づいて下されます。高齢者の診断では、仕事や社会的な関わりの減少によって気づかれにくかったり、精神的な弱さと誤解されたりすることがあるため、医師が診察の際に決まって気分について尋ねることも少なくありません。
治療
うつ病の治療では、抗うつ薬と精神療法が用いられるほか、ときに電気けいれん療法が役立つ可能性があります。高齢者のうつ病には、副作用が発生する可能性が比較的低い選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が最もよく使用されています。
セルフケア・日常生活
日常生活においては、うつ病が性格の弱さや元気になろうとする努力の欠如を反映するものではないことを理解することが大切です。家族や周囲の人は、本人の熱意や自発性の低下、ユーモアの喪失、もの忘れなどの微妙な変化に注意を払い、孤立させないようにサポートすることが求められます。
予防・再発防止
うつ病は生涯に何回か再発する傾向があるため、過去に発症したことがある人は再発の可能性が高くなります。日頃からストレスの管理や身体の疾患の適切な治療を行い、心身の変化に注意を払うことが再発防止に向けた大切なポイントとなります。
経過・見通し
いったん起きたうつ病は、治療しないでいると典型的には6カ月ほど続き、ときに2年以上続く場合もあります。高齢者の場合は、認知症に似た症状がみられても、うつ病であれば治療により精神機能が回復することで認知症と判別できます。また月経前不快気分症のように閉経後に消失するものなど、種類や状態によって経過は異なります。
関連する症状
うつ病に関連する国家試験問題
国家試験での出題
医療系の国家試験で、この病気に関係して出題された過去問です(学生・受験生向け)。
出典
- MSDマニュアル家庭版
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